こちら豊島区池袋雑食課

トゲ?(その2)

前回の経緯・まずはこちらからお読みください

(つづき)
とりあえず病院にいこうと決めたまではよいが、俺も得体の知れない状況には
ぐいぐい弱気になれるもので、

「もし途中で折れたトゲだったとしたら、俺は何かの拍子(洗い物とか、風呂掃除だとか)でいつのまにか、結構な長さのトゲが今まで刺さってたって事でグェー」

「もしトゲが自然発生的な物体で、このまま俺の養分すって大きくなって
爪とか突き破ったらキァー」

とかなんとか、とりあえず色々恐ろしげな妄想が頭を駆け巡ったが
詮方なし。取りあえず回りに聞いてみる事にした。

オレのいる出向先には診療所があるらしい。会社の人に電話してもらった。そして一言、
「出向の人はだめみたい…」
なんと融通の訊かないことか。

しょうがないってんで、ネットで検索。調べた結果、駅前に大学病院が一軒ある事を突き止め、夕方の診療受付に合わせ、若干の早退をした。

夕方の診療は人が居なくて暇なのか、看護婦もコントみたいにダラダラしていた。
俺が受付で「あ、これは整形外科ですね」と言われた時、プッと吹き出していた女だ。
その笑いの意味はよく判らんが、俺の気分はちょっと悪くなった。

しばしして奥へ通されると、医者は意外と若かった。大学病院・夜間の診療という事を考えれば、インターンかな? ちょっと頼りなげな感じの優男。

そしてかくかくしかじかと病状(?)を説明する、まぁすんなり納得できない様子で
しきりに指を観察しはじめる。

そんなこんながあって、やがてちょっと高級な林檎を包むような、ネット状の包装紙が用意された。
「ここに手、おいて」
どうもガーゼだったらしい。しかし、デスクに無造作に置かれたガーゼに果たしてどんな意味があるのか。

金工細工、もしくはプラモデルなどで使うバイスをご存知だろうか。あの、ドリル状になっていて、キリキリ回すことで小さい穴をあける工具である。
医者がおれの手を抱え込むようにつかむ。
そして、かなり太目(遠目にも穴が空いている事がはっきり確認できる)の注射針のようなモノをを取り出したかと思うや、それをバイスよろしく俺の爪につきたてるではないか。

「!?」

きりきりきり

「イタっ!」

医者は、「あれぇ」といった表情を浮かべて、さすがに動作を一瞬止めた。
が、床屋が耳を挿んじゃった程度の反応で、すぐ何事もなくきりきりを再開した。

きりきりきり

「…うごぇっ」

かすかな怒りを押さえて(やっぱし先生だからさ)、おれは静かに恐る恐る尋ねた。
「こ、これはいったい何をする物なんですかね」

「爪にね、穴をあけるんです」

きりきりきり

僅かな一点から強烈な痛みがほとばしる。脂汗が浮かぶ俺を見てか、医者はボソッと話しかけてきた。

「ドアに手を挿めた子供とか、血豆ができて爪が浮いてしまってる場合にやるんですけどね。薄く穴をあけるだけなんで普通は痛くないんですけどねぇ」

俺はドアに手を挿んだ子供でもないし、爪の下に豆が出来てしまったわけでもない。
普通は、ということだからおれはきっと普通じゃないんだ。ぶつぶつ。

「ちょっと我慢しててねー」

ちょっと我慢すればいいそうだ。ちょっとってどれくらいだ?時間か?痛みの度合いか?ちょっとを我慢することでトゲは取れるのか?もうトゲはいいからこの痛みなんとかならんのか。そもそもなんだって週末の夜に俺はこんなところでうつむいて踏ん張って悩み果てねばならんのか。ウーンウーン。

「あれえ」

スーッと音を立てるように血の気が引いていく、脂汗がえらく冷たく感じる。
なんだか吐き気がしてたまらない。あれ、あれ、なんだこれ。
とウンウンいってる間に脇から看護婦がニュッとでてきてシュッと血圧を測りだす。

「あー、貧血ですね。」

どうも痛みのあまり、貧血を起こしたらしい。案外だらしないな、俺。
しかし、なんだって爪イッコでこんな事に…。

(つづく)
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by gesotoku | 2004-11-11 17:28

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