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こちら豊島区池袋雑食課

イカソーメンをやってTRY

イカソーメンの話。

いつぞやの日曜日、テレビを点けると「噂の東京マガジン」をやっていた。
浜辺で水着の女性がなんともグロテスクで奇怪な物体をこさえている。
どうもそれが、やつのいうところの「イカソーメン」であるらしい。
すっかりおなじみのこのコーナーだが、
街行く若い女性に声をかけ、実地で料理をつくってもらってその様子を流す、それだけの内容である。
ズラズラ用品を並べたテーブルには、料理に必要な材料は勿論、「フェイク」の材料も入っている。
あんかけヤキソバの回で、案の定ギャルは小麦粉やらゼラチンを入れてみたりするから、
製作側としては「期待通りの絵」であるのだろう。まんまとしてやられている。
オッサン声のボヤキナレーションも輝きを増そうというものだ。

出てくるものといえばどれも普段馴染みのある食べ物で、
「子供の頃から手伝いをし、もしくは自立後きちんと炊事している」
人間にはさほどに難しくは無い、だろう、というシロモノである。
まぁ結局のところ、
「あらあら、だから最近の若い人はダメよね~」
「こんなこともできないのか。全く親の顔が見てみたい」
なんてのを言わせて小市民の溜飲を下げさせるという、そんな企画意図なわけだ。
日曜日のほのぼのオブラートにかぶせているが、結構悪趣味下世話な内容ではある。
でも中には普段馴染みではあるが案外知らない・作れない料理の場合もあるわけで、
そういう場合は画面の向こうのギャルを笑うに笑えない状況である。
「うわこいつバカだね~(あれ、でもどう作ったらいいんだっけ?)」てな具合。

しかしそこは長寿コーナー。配慮が行きとどいている。
毎回最後にお手本でプロの料理人が登場して、きちんと手順を踏まえて、
練達の技術をみせつつも、ご家庭で作る際のコツまできっちり教えてくれる。
実はここが見逃せない。料理レシピの単行本も単独で発行されているというから、
やはりこの部分も概ね好評なのだろう。
例え如何なる知ったかさんでも「そうそう、こう作るんだよ」などと、
恥をかかずに済むというなんとも絶妙のメカニズムである。
若者を腹抱えてバカにしつつも、知ったかぶり中年へのフォローも抜かりない、
まるで接待のような番組内容である。うーん、隙が無い。

で、それはそれとしていいのだが、イカソーメンの回で気になる事があった。
件のコーナーでは、プロの料理人がスーパーで見るような白くなったイカの刺身を、
肝やらミソやら醤油やらでタレにしてかけて「イカソーメンです」と称していた。
でも、それは単に「イカの刺身」じゃないのかな。
「イカソーメン」というのは、海からあがったばかりの、それも身焼けしていない、
透き通ってプリプリしている新鮮なイカを細く切って食べる刺身の事だったと思うのだが…。
だから「調理法」というよりもむしろ「地域限定の食べ方」である。
もっとも、それをじゃぁご家庭で気軽になんてのはドダイ無理な注文である。
プロでさえ「代用品」しか作れないのだから。(当たり前だが)
だから、これはそもそものチョイスが間違っていたわけで。
つまり死んだシラウオを前にして「踊り食いをつくれ」とかと一緒。
同じイカでも例えるなら陸地で「沖漬けを作れ」ってのと一緒。なんのトンチだ。

そもそも「キチンとつくれましためでたしめでたし」
とリアクションは企画意図として要求してないのだからこれでいいのだろう。
つまり最初から「いかにトンチンカンな失敗をするか」が目あてなわけだから。
まず失敗ありき、てな悪意がブラウン管(これも死語だな)の端からにじみ出ていて、
ちょっと半笑いしてみた日曜日の昼下がりであった。


※追記 どうやら、単に細切りのイカの刺身の事も「イカソーメン」と呼称していいらしい。しかし、かといって「これがイカソーメンです」と言い、「あれがイカソーメンなのか」と思われるのもなんとなく釈然としないのだけれど。



by gesotoku | 2006-08-09 11:58 | コラム・批評

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