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こちら豊島区池袋雑食課

見逃してしまったプロのワザ

先日トイレの電球が切れたので、某ビックカメラ本店へ繰り出した。
電球一個に大袈裟な気もするが、ついでにゲームソフトでも見に行こうかと思ったわけで。
で、照明フロアに行ってアラビックリ。ズラリと並んだ電球電球また電球。三四がなくて五に蛍光灯ってなぐらいの勢い。
まぁーしかし、普段の生活で電球の事を考える割合なんか1%も無いから、当然どれがどれだかよく分からない。「省エネ」「光がやわらかい」「長寿命」「即点灯」などなどのフレーズの嵐に混乱しきり。
「もはやほとんど電球です」なんてキャッチまであった。じゃぁ電球にすればええのとちがうの?
てな具合に色々と思案(という名の沈静行為)の結果、なんかそれっぽい一番チープな電球の二個入りセットを買うことにした。レジへ持っていこうとすると、穏やかさ満点の売り場に不似合いな怒声が耳に入ってきた。

「おい!おい!オーイ! オマエ、いい加減にしろや!」

見れば、30代後半とおぼしき男が盛んに怒鳴り散らしている。決して小さくないフロアだが、どこからでも聞こえるほどの野蛮な大声。数秒の後恭しく店員がやってきて、何やら申し訳無さそうに説明をする。どうも商品の在庫を奥で問い合わせていたらしい。

「あるの!? ないの!? は・っ・き・り・し・ろ・よ!」

お客様相手の商売故か、いつもは元気満点であるだろうハッピの販売員がひたすら恐縮しきり。なで肩だからか一層ションボリした様子に見える。

「はァ?無い!? ふざけんじゃねぇよ!オイ!仕事しィろォよォー!」

男は白いセカンドバックを小脇にかかえた、サマーセーターにスラックスに厚みの無い靴という出で立ち。
形容が面倒臭いから入ってしまえば「下品にドレスアップしたシルビアに乗ってそう」な風体だ。
横には気だるそうな茶髪でミニの女。これまた形容が面倒臭いから、いっそストレートにいうと「下品にドレスアップしたシルビアの助手席に居そう」な女だ。

「おーれーは! いま欲しいの! いますぐ持ってこいや!」
「100ワットのなかったら110のやつ、120のやつ、なかったら130のやつ、
ぜーんぶ探してメーカーに電話しろよ! なんでそれくらいのことできねーのよ!」
「今日持って帰れるやつ、今すぐ全部リストアップしろ!」

問い合わせた品の在庫が無い、という愚にもつかない過失さえなければ見た目は恐喝同然である。また、そんなことで吠える男も男だが、その間横で止めるでもなく窘めるでもなく、ずっとだるそうに枝毛を気にしている女も相当にアレだ。きっとこんなのはもう見飽きた風景なのかもしれないな。

どこらへんが癇に障ったのかはよく知らないが、クレームつけるにも法というか、そもそもそれ以前に公共的な社会的なマナーがまずあるだろう。不満はただ正当に真摯に店側へぶつければよく、威勢を誇示するように所かまわず喚き散らす必要はドコにも無い。お前はそれなりに不愉快な思いをしたのかもしれないが、それによってもっと不愉快になったコッチはどうなんだと。

まァーしかしなんだ、照明フロアでこんなに薄暗い気分になるなんて思わなかったよ。
いや、勿論販売店側の不手際もあったのかもしれないけどさ、フロア中に聞こえるように叫ぶ必要なんかどこにもないだろう。オマエはどこの絶対君主か。土地の領主かなにかか。

「お客様は神様」という言葉があるけど、「俺は神だ」と思ってる客なんざもはや客じゃないとも思うが。そうはいっても、ビックカメラの店員はひたすら低姿勢で誤り続け、かつ粘り強く説明を続けていた。
あまりの不愉快さに、一旦ちょっと他の売り場へ目を離していた俺だったが、やがて電球の会計を終える頃には件の男女は何がどうしたのか、いたく満足した様子で手に蛍光灯を持って帰っていった。これはちょっとした感銘を受けた。一体どんな接客マジックをつかったのかしらんが、「プロってすげぇ」と素直に思った。



by gesotoku | 2006-09-21 16:03 | 池袋の話

池袋界隈を裏からうろつきまわるブログ。雑談も多め。
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